脈動オーロラの様子。魚眼レンズで撮影(国立極地研究所/Aurora 3D Project提供)
北極圏などの夜空を覆うオーロラの後に現れ、淡く明滅する「脈動オーロラ」が起きる仕組みを、東京大や名古屋大などの国際研究チームが解明し、英科学誌ネイチャーに発表した。特殊な電磁波が強弱して、地球の磁気圏で電子が揺さぶられていたという。
脈動オーロラは、通常のカーテン状のオーロラが様々な色で爆発的に舞った後に斑点状に現れる。一つの斑点は数十~数百キロあり、数秒から数十秒かけて、淡く明滅する。磁気圏にある高エネルギーの電子が、高度100キロほどの大気で降ったりやんだりすることで起こるが、電子が間欠的に降り注ぐ原因は不明だった。
チームは宇宙航空研究開発機構のジオスペース探査衛星「あらせ」の観測データを解析し、カナダなどに設置した全天カメラが撮ったオーロラとの関係を調べた。高度約3万キロで往復運動をする電子が、太陽風などによって起きる「コーラス波動」という電磁波に揺さぶられて大気に降り注ぐとつきとめた。
笠原慧・東大准教授(地球惑星科学)は「電子の揺さぶりなどを観測することで、地球同様に磁気圏を持つ土星や木星で起きるプラズマなどの理解が進み、惑星環境の解明につながる」と話している。(田中誠士)