関係が悪化している欧州連合(EU)とトルコが26日、ブルガリアのバルナで首脳会談を開いた。トルコが隣国シリアに越境して進める軍事作戦などを巡って立場の違いが鮮明になり、関係改善に向けた溝は埋まらなかった。
トルコはシリアの少数民族クルド人の武装組織「人民防衛隊」(YPG)が、自国の非合法武装組織と一体とみて1月に北部アフリンで越境作戦を開始し、全域を制圧した。
EU首脳会議のトゥスク常任議長は会談後の記者会見で「シリアでのトルコの行動に深い懸念を表明する」として、暴力の拡大や危険な状況で住民が避難する事態を避けるべきだと呼びかけた。
これに対し、トルコのエルドアン大統領は会談後、「我々はテロとの戦いへの不公平な批判ではなく、強い支持を期待する」と話した。
EUは、トルコのエルドアン政権が2016年7月のクーデター未遂以降、強権化していると問題視し、EUの加盟候補国である同国に対して人権状況の改善などを求めている。首脳会談でもEU側はこうした問題を提起したが、トゥスク氏は記者会見で「具体的な解決への歩み寄りには至らなかった」と話した。(イスタンブール=其山史晃)