田原総一朗さん=23日午後3時41分、東京都中央区の朝日新聞東京本社、池田伸壹撮影
田原総一朗さん、証人喚問でみえたもの
テレビの怖さは情報が言葉だけではないことです。言葉以上に、表情、声音、身ぶりなど全てが情報として視聴者に届けられるのです。とりわけライブで流れる証人喚問はその要素が強く出ます。
34年生まれ。「朝まで生テレビ!」などテレビ討論、情報番組の司会で長年活躍。著書多数。
NHKや民放各局が流した佐川宣寿・前国税庁長官の喚問中継を見た国民は、「この人は事実を何か隠している」と感じたのではないでしょうか。映像の中の彼がそれを雄弁に伝えていたと思います。
証言に立った佐川氏の表情を見て、二重三重にもよろいを身につけ「完全武装」でのぞんでいるような印象を受けました。これ以上、身をおいた官僚の世界からも孤立したくないし、官邸の信頼も失いたくない。そのためにどう答えるべきか。戦略を固め、そこから逸脱しないという覚悟を決めた表情に見えました。
その通り、証言の間も、これまでの国会証人喚問の歴史で時折見られたような、動揺したり、困惑したりする姿を見せることはありませんでした。「刑事訴追を受ける恐れがあり、答弁を差し控えさせていただきたい」を連発し、何ひとつ明らかにしないまま終えました。
ただ、「訴追が理由ではなく、…