参院外交防衛委で、民進党の牧山弘恵氏の質問に答弁するため挙手する小野寺五典防衛相=5日午前10時6分、岩下毅撮影
防衛省が存在しないとしていた陸上自衛隊のイラク派遣時の活動報告(日報)が見つかった問題について、小野寺五典防衛相は5日午前の参院外交防衛委員会で、昨年3月に陸自内で存在を把握していたのに防衛相に報告されなかったことを「大変大きな問題」と述べ、徹底的に調査する考えを示した。
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野党は、陸自から防衛相への報告遅れを問題視。民進党の牧山弘恵氏は「大臣のシビリアンコントロール(文民統制)が不全な状況にある」と指摘した。
小野寺氏は「シビリアンコントロールが機能していなければ、まだ公表されていなかった可能性もある」「シビリアンコントロールのなかで真相を明らかにしていく。しっかりうみを出し切る」と強調。大野敬太郎防衛政務官をトップとする調査チームで、日報が見つかった陸自研究本部(研本、現・教育訓練研究本部)で報告が遅れた経緯などを調べる考えを示した。
牧山氏は「陸自の根深い隠蔽(いんぺい)体質」とも指摘。小野寺氏は「隠蔽に当たるのかどうかは、厳密に調べたうえで、国会に報告したい」と述べるにとどめた。民進党の小西洋之氏も「シビリアンコントロールが根底から崩されている」と追及した。
一方、菅義偉官房長官は5日午前の会見で「大きな問題で極めて遺憾」と述べ、「事実関係が明らかになったところで厳正な措置を含め適切に対応されると思う」と話した。
公明党の山口那津男代表は5日の党中央幹事会で「国民の代表である国会に正しい事実をきちんと述べなかったのは、国民をだますに等しい行為だ」と防衛省・自衛隊を批判した。
立憲民主党など野党6党の国会対策委員長は5日、衆院予算委員会で11日に予定されている財務省の決裁文書改ざん問題などをめぐる集中審議とは別に、防衛省の日報問題に関する集中審議を実施するよう求めることで一致した。
日報問題をめぐっては、稲田朋美防衛相(当時)が昨年2月20日に国会でイラク派遣時の日報は存在しないと答弁。その2日後に、稲田氏は日報を探すように指示した。研本は、同年3月10日までに残っていないと回答したが、同27日に「教訓業務各種資料」という文書が入った外付けハードディスクから見つけた。防衛相ら政務三役らに報告されていなかったという。