マイケル・ブース氏(左端)と日本の食について語り合うdancyu編集長の植野広生氏(右端)=6日、東京・六本木、大室一也撮影
「英国一家、日本を食べる」などの著書で人気のジャーナリスト、マイケル・ブース氏を招いたトークイベントが6日夜、東京・六本木で開かれた。ブース氏は「食べることはストーリー。食はその国の文化や政治、経済など、すべてを学ぶ近道です」と話した。約150人が参加した。
朝日新聞GLOBE
イベントは「マイケル・ブースの世界を食べる」を連載する朝日新聞の日曜版「GLOBE」と、3月末に新著「英国一家、日本をおかわり」を出版したKADOKAWAの共催、アカデミーヒルズライブラリーの協力で開催された。
ブース氏は、「日本人が知らない日本食の世界」をテーマに、食雑誌『dancyu』の植野広生編集長と、日本食の伝統や技、直面する現実について語り合った。
現在、デンマークに暮らすブース氏。モデレーターの後藤絵里・朝日新聞バーティカルメディア統括編集長から「デンマークに紹介したい日本食は何か」と質問されると、「焼酎。焼酎バーを開きたいくらいだ。あとは糀(こうじ)の文化、甘酒。飲み物にポテンシャルがあると思う」と語った。
一方、「『知る』はおいしい。」をコンセプトにする『dancyu』の植野氏。「夢の日本食店」について聞かれると、「魚介は日本が誇るべきもの。特に技が素晴らしい」と、魚をさばく技術が高く、欧州の人にも知ってもらいたいい、と強調した。
マイケル氏はまた、東京五輪が開かれる2020年を控えて日本の「おもてなし」をどう思うか尋ねられ、「日本政府は外国人観光客が増えてほしいと言っているが、私は何も変わって欲しくないと思っている、一番近い『隣の惑星』だから」。日本で日本的でなくなっている場所が増えているのが残念と訴えていた。(中野渉)