日韓外相会談冒頭で、握手を交わす河野太郎外相(左)と、韓国の康京和外相=ソウル市の韓国外交省
韓国を訪問中の河野太郎外相は11日、ソウル市内の韓国外交省で康京和(カンギョンファ)外相と会談した。27日の南北首脳会談を前に日本政府の立場を改めて説明し、協力を得るとともに北朝鮮側に伝えるよう要請。慰安婦問題などで異なる立場の日韓の信頼関係をどこまで深められるかも焦点だ。
河野氏は外相として初の訪韓。会談冒頭、康氏は「これから数カ月は北東アジア地域の平和と半島情勢でとても重要な時期。北朝鮮核問題の平和的解決と半島の平和構築という共通目標に向けてともに努力したい」と指摘。河野氏も「日韓で緊密に連携したい」と応じた。河野氏は会談後、文在寅(ムンジェイン)大統領を表敬訪問する。
日本側によると、河野氏は会談で「これまでの国際社会の経験から、北朝鮮が対話に応じるだけで見返りを与えるべきではない」「完全で不可逆的な非核化が実現するまで最大限の圧力を維持すべきだ」と提起し、康氏も同意したという。
安倍晋三首相は今月中旬に訪米してトランプ大統領と会談する予定で、日本が射程に入る中距離弾道ミサイルの廃棄や、日本人拉致問題の解決を北朝鮮に促すよう求める方針。河野氏も韓国側に同様の立場を表明し、北朝鮮に対する圧力を継続する重要性を強調したとみられる。
康氏も北朝鮮の核問題をめぐる日米韓の結束を確認したい考え。ただ、日本の立場とは隔たりも大きく、南北首脳会談で拉致問題を取り上げるかどうか言及していない。(ソウル=鬼原民幸、武田肇)