昨年3月、ロシアW杯アジア最終予選のタイ戦で先制点を決め叫ぶ香川(10)=長島一浩撮影
サッカー日本代表の電撃的な監督交代劇は、約2カ月後のワールドカップ(W杯)ロシア大会のメンバー選考にも影響が出そうだ。10日、西野朗(あきら)新監督(63)は「日本が積み上げたもので勝負する」と技術と組織力を押し出す考えを述べ、個々に力強さを求めたハリルホジッチ前監督からの転換をにおわせた。
西野監督、第一声「すいません」 大幅な方針転換匂わす
今回の監督交代でW杯へ視界が開けそうなのがFW岡崎(レスター)だ。ハリルホジッチ前監督には「背が低い(身長174センチ)」「レスターと代表での役割は違う」と重用されず、昨年9月を最後に代表から外れた。今季、イングランド1部で26試合6得点。日本代表でも歴代3位の50ゴールを挙げ、実績も現在の状態も申し分なし。西野新監督が4―4―2の布陣を用いれば、最も生きる2トップでの起用もある。
FW本田(パチューカ)は3月のベルギー遠征で、球の保持を重視しない前監督のサッカーへ異を唱えていた。ボール保持率を上げれば、個人の弱さを組織でカバーできるとの考えだ。MF香川(ドルトムント)も守備力を重視する前監督の戦術に適応できなかったひとり。監督交代で復活の芽が出てきた。
反対にハリルホジッチ前監督の戦術に合っていた選手には試練かもしれない。FW原口(デュッセルドルフ)は攻守にハードワークできる点を買われて活躍。「まずは守備から。この(前監督の)サッカーが世界で勝てる可能性が一番高い」と話していた。DF槙野(浦和)は厳しい指摘を受け続けながら改善。信頼を得て先発の有力候補に躍り出ていた。FW杉本(セ大阪)も、前監督が好むプレースタイルで期待をかけられてきた。
W杯に臨む23人の決定まで、残る試合は来月30日のガーナ戦のみ。ワンチャンスで、選手の序列がひっくりかえるかもしれない。(藤木健、吉田純哉)