フランス―コロンビアの親善試合を視察するハリルホジッチ前監督(右)と西野朗新監督=2018年3月23日、パリ郊外サンドニ、長島一浩撮影
日本サッカー協会の田嶋幸三会長は9日、東京都内で記者会見を開き、日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督(65)を7日付で解任したことを明らかにした。後任には日本協会の西野朗(あきら)技術委員長(63)が就任し、6月14日に開幕するワールドカップ(W杯)ロシア大会で指揮を執る。W杯本大会での日本人監督は、岡田武史氏以来2人目。西野新監督は12日に会見する予定。
W杯まで残り約2カ月での解任について、田嶋会長は「選手との信頼関係が薄れてきたことなどを総合的に評価した。W杯で勝つ可能性を1%でも2%でも上げたかった」。複数の関係者によると、ハリルホジッチ監督は練習中に意見してきた選手を代表メンバーから外したり、代表スタッフからの助言を無視したりすることが相次ぎ、周囲との溝が深まっていた。3月下旬に欧州であったマリ、ウクライナとの親善試合を1敗1分けで終えた時点で、田嶋会長は「みんなで監督をサポートしようと努力してきたバランスが崩れた」と判断したという。
西野新監督は、1996年アトランタ五輪で日本を率いてブラジルを破る「マイアミの奇跡」を演出した。Jリーグでは柏やガ大阪などを率い、J1最多の270勝を挙げている。日本サッカー協会を通じて、西野新監督は「このような状況について、技術委員長として責任を感じている。このタイミングでの監督交代は非常に難しいが、全身全霊で取り組んでいく」とコメントした。田嶋会長は「これまでの準備を見てきたのは西野さん。W杯までたった2カ月で、内部昇格しかないと思った。短いからこそ集中できる」と語った。(清水寿之)