中日の柳裕也
(10日・プロ野球 中日3―0ヤクルト)
もう後はない。自らを追い込んだマウンドで中日の柳が躍動した。9回を散発2安打でプロ初完封。今季初勝利に彩りを添えた。
「何回もチャンスはない。ここで駄目なら(2軍との)入れ替えもある。1球ずつ腕を振ろうと思った」。約1年ぶりのプロ2勝目は、今季12球団一番乗りの完封劇だった。
今季から使い始めたチェンジアップが生きた。カーブやスライダーとともに緩急をつけ、ヤクルト打線に的を絞らせない。「一番苦しかった」という八回は、二つの四球などで2死一、三塁のピンチ。ここで代打大村を追い込み、最後はチェンジアップで空振り三振に仕留めた。
2016年秋のドラフト1位で明大から入団。1年目の昨季は即戦力と期待されながら、右ひじや背中のけがなどで11試合の登板に終わった。オフに体幹などを鍛え、2月の春季キャンプでは、横浜高の先輩・松坂に故障時の対処法なども尋ねた。「投げる姿、準備をする姿、学ぶことは多い」と話す。
ライバルたちの頑張りにも触発された。3年目の小笠原が6日の阪神戦で今季初勝利を挙げ、同期の笠原は8日の阪神戦で6回1失点と好投した。
「自分も結果を出し、食らいつこうと思った。ただ、これで満足はしていない。切り替えて、次に向けて準備をしたい」と話す2年目右腕。巻き返しのシーズンが始まった。(鷹見正之)
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●小川監督(ヤ) 完封負けに「(中日の)柳はコントロールが非常に良かった。緩急を使って、ヒットは2本。完璧にやられた」。