誕生日ケーキのろうそくの火を吹き消すガ大阪監督時代の西野朗氏=2008年4月
サッカー日本代表の新監督に決まった西野朗(あきら)氏(63)。端正な顔立ちでクールな印象がある一方、ユーモアを交えた語り口で、報道陣からも親しまれる人柄の指揮官だ。
ハリル氏後任は西野朗氏 日本人監督でのW杯、2人目に
2002年から11年まで、10年間監督を務めたガ大阪時代、西野氏はほぼ毎日、報道陣からの取材に応じていた。クラブや監督自身の方針によって、監督の取材対応日は限られることも少なくない。西野氏は、非公開練習の日でも嫌な顔をせず、報道陣からの質問に答えてくれた。
意地悪な質問にも、うまく切り返した。試合前にネガティブな質問をしていた記者に対して、試合後の会見で「発奮して、おかげで試合に勝てました」と答えたこともある。
試合日前日、慣例となっていたミニゲームには自ら参加。選手に交ざって楽しそうにボールを蹴るのが印象的だった。ある選手によると、「人数が合わなくてゲームに入れないと、寂しそうにしている。結構、おちゃめです」。選手からも慕われていた。
ガ大阪の監督を退任してすぐ、朝日新聞でコラムを執筆してもらった。打ち合わせのため、東京都内で取材した際、話を聞く場所を確保できずに街中を一緒に歩いてもらった。「東京は、時間もスペースも与えてくれないぞ」。慌てる記者を気遣って、サッカーに例えた冗談で緊張をほぐしてくれた。
入ったホテルの喫茶店では当初1時間の予定だった時間を大幅に過ぎ、4時間近く思いを語ってくれた。うちに秘めた情熱を感じずにはいられなかった。(勝見壮史)