崩落のイメージ
大分県中津市耶馬渓(やばけい)町で11日未明に起きた土砂崩れ。雨が降っていないなかで、これほど大規模な斜面崩壊がなぜ起きたのか。現地調査した専門家調査団は11日夜、斜面の地下の基礎となる岩石が著しく風化し、いつ崩れてもおかしくない状態になっていたとの見解を示した。
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国土交通省の依頼を受けた土砂災害の専門家が現地で記者会見した。現場は溶結凝灰岩や安山岩など火山性の岩石の上に、厚い土砂の層が載っている構造。ヘリで上空から調査した国土技術政策総合研究所の桜井亘・深層崩壊対策研究官は「崩壊の発端は基礎の岩石が崩れたことと思う。非常に風化して、強度が低くなっていた。大雨は降っておらず、地下水の影響は低かったのでは」と説明した。
現場の状況から、まず斜面の真ん中あたりが崩れ、その後に上部が引きずられたと推測する。
崩壊現場の上にのぼって調査した九州大の三谷泰浩教授(岩盤工学)も、「岩石に無数に亀裂が入っていた。風化が著しい」と話した。
現地調査には加わっていないが、東京電機大の安田進教授(地盤工学)は「直接の引き金はなくても、ぎりぎりの状態を保っていた不安定な斜面が突然崩れることはまれにある。特に九州などの火山性の地質は崩壊しやすい」と指摘する。京都大防災研究所の千木良雅弘教授(応用地質学)によると、1987年に北海道・層雲峡で崖が突然崩壊した例がある。これも、降雨がない時に割れ目の多い火山性の岩石が崩れて起きたという。