年金の所得控除のデータ入力ミスなどで過少支給が相次いだ問題で、日本年金機構は10日、原因究明や外部の業者への委託のあり方などについて検証する第三者調査委員会を設置した。調査結果は6月上旬をめどに公表する方針だ。
年金の入力ミス、10万4千人に過少支給 日本年金機構
年金機構、納品データを一度も点検せず 過少支給問題
機構の水島藤一郎理事長は初会合の冒頭、「受給者に正しく確実に年金をお支払いする使命をしっかり果たせる組織となるため、何を反省し何をすべきか厳しい目でご検証頂きたい」と述べた。調査委の委員長には一橋大大学院の安田隆二・特任教授が就任し、弁護士や公認会計士など4人で構成する。
今回の問題では、所得控除の手続きに必要な「扶養親族等申告書」の様式が、マイナンバー制度の導入や税制改正を受けて大幅に変わり、未提出や提出遅れの人が続出。さらに、提出書類のデータ入力作業を委託された「SAY(セイ)企画」(東京都豊島区)が中国の関連会社に再委託するなどの契約違反を重ねた。一方、機構や監督する厚生労働省も対応が遅れ、混乱の拡大を招いたとされる。調査委は業務の実態を調べ、再発防止策や外部委託のあり方を議論する。(佐藤啓介)