脱走経路とみられる窓を見る山下貴司法務政務官(左)=2018年4月15日午前、愛媛県今治市の松山刑務所大井造船作業場、金居達朗撮影
松山刑務所大井造船作業場(愛媛県今治市)から8日夜に受刑者の平尾龍磨容疑者(27)=単純逃走容疑で指名手配=が逃走した事件で、山下貴司法務政務官が15日、作業場や逃走時に乗り捨てたと見られる車が見つかった広島県尾道市の向島を訪れ、住民らに謝罪した。愛媛、広島両県警は、事件から1週間となるこの日も総勢約千人が出て、島内で大規模な捜索を続けたが、有力な手がかりは見つかっていない。
山下政務官は、受刑者が暮らす作業場の寮の中の更衣室、逃走ルートとなった可能性のある廊下の窓などを見て回り、吉田博志所長から説明を受けた。山下政務官は報道陣に「近隣のみなさまに大変な心配をかけており、法務省としておわびする」と語った。その上で「(作業場が)社会復帰に向けて非常に有効であることは間違いない。ただ、受刑者の心情の安定やコミュニケーションをどう図るかが課題だ」と述べた。その後、地元自治会長の田坂直茂さん(66)宅を訪れ、「地域にご心配をかけて申し訳ない」と謝罪した。
続いて、向島の公民館で小中学校の校長や地区長ら5人と面会。「ご迷惑をおかけし、申し訳ありません」と頭を下げた。
出席者によると、住民側は子どもが外で遊べない状況を説明したほか、検問による慢性的な交通渋滞や児童生徒の送迎で、島外への通勤者や保護者、教員に負担が生じていることを伝えたという。出席者の1人は「不満を抱えている住民たちの話を直接聞いてあげてほしい」と話した。
山下政務官は、島内の民間企業敷地内にある刑務所作業場も訪れ、同社役員に謝罪した。(柳川迅、橋本拓樹)