「長女の性被害はたまたま起きたわけではないと思う。仕組みや制度を変え、真剣に取り組まないと、被害はなくならない」。黒塗りされて裁判に出された三重県の資料を手にする春日水鳥さん=三重県名張市、大久保真紀撮影
三重県からデータを入手した団体は同県名張市の自営業、春日水鳥(みどり)さん(42)が昨年9月につくった。
被害者も加害者も子ども 施設での性暴力、厚労省調査へ
離婚後に体調を崩し、施設に預けた長女(当時7)が11~12年、同じ施設の少年(当時13)から下着を下ろされて下半身を押しつけられるなど、わいせつ行為を繰り返し受けたとして、13年に県と施設、少年に損害賠償を求めて提訴。昨年4月、津地裁が性被害を認め、少年の母親に180万円の支払いを命じた。春日さんは県や施設の責任を認めなかったことを不服として控訴。名古屋高裁が今年2月に棄却したため、最高裁に上告している。
12年度までの性被害の実態は、津地裁の文書提出命令で開示された。その後の件数も県から入手した。春日さんは「長女だけの問題ではない。被害をなくすために活動したい」と話す。
この問題は、被害者が声をあげにくいこともあって表面化してこなかった。
小学生のころ児童養護施設に暮…