米朝首脳会談をめぐる両国の動き
トランプ米大統領が18日、ポンペオ米中央情報局(CIA)長官を極秘訪朝させ、北朝鮮の非核化に向けた事前交渉を進めていることを明かした。閣僚級の訪朝は異例で、トランプ氏の「本気度」を示すものだ。この流れを受け、訪米した安倍晋三首相はトランプ氏の方針を称賛し、拉致問題などでの協力を求めた。(パームビーチ〈米フロリダ州〉=小野甲太郎、園田耕司、土佐茂生)
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「金正恩(キムジョンウン)氏と直接話しているのか?」。17日の首脳会談を終え、日米首脳夫妻が芝生の上を歩いて夕食会場に向かっていたとき、記者団が大声で問いかけた。トランプ氏は、クルッと振り返って笑顔で言った。
「YES」
記者団はざわめいた。トランプ氏はこれに先立つ安倍首相との会談の冒頭、「我々は極めて高いレベルで北朝鮮と直接話をしている」と語っていたためだ。トランプ氏は翌18日朝、ポンペオ氏が極秘訪朝し、金正恩朝鮮労働党委員長と会談したとツイート。北朝鮮の非核化に向けた事前交渉が進んでいるとも明かし、米朝首脳会談に向けた「本気度」を示して見せた。
トランプ氏の狙いは、自身と考え方の近い腹心に交渉させ、最後は自分でディール(取引)をまとめるというものだ。トランプ氏はポンペオ氏に信頼を寄せており、関係が悪化していたティラーソン国務長官を先月解任。後任にポンペオ氏を指名した。ポンペオ氏に北朝鮮との交渉役を任せるつもりだったとされ、外交を担う国務省ではなく、CIAに水面下の交渉をさせる異例の展開をとった。
ポンペオ氏は昨年5月、CIA内に「朝鮮ミッションセンター」を設立。北朝鮮の核・ミサイル開発の進み具合や正恩氏の動向などの情報を収集。こうした機密情報や北朝鮮問題の経緯などをトランプ氏に逐一、報告しているとみられる。
ポンペオ氏が率いるCIAチームは、これまでに複数回、北朝鮮の当局者と接触。そして、ポンペオ氏自らが正恩氏と極秘交渉したことも明らかになった。国交がない北朝鮮に閣僚級の高官が訪れ、正恩氏と会談するのは異例だ。
こうした状況からか、12日の…