ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)と十八銀行(長崎市)が経営統合実現のため、長崎県内の中小企業の融資先すべてを対象に、他行への債権譲渡を受け入れてもらえるか調べる方針であることが23日、わかった。調査は5月上旬にも始める。
一部企業を対象に昨年一度調査しているが、今回は対象を広げ、譲渡額を積み増せないかを探る。県内でのシェア低下につながる道筋を示し、統合を審査する公正取引委員会の理解を得たい考え。
親和銀行(長崎県佐世保市)を傘下に持つFFGが十八銀と統合すれば、長崎県内の企業向け融資シェアは7割になる。公取委は競争が制限され、金利上昇などの心配があるとして統合に難色を示している。そこでFFGと十八銀は債権を他行に移し、シェアを下げることを検討している。
昨春、両行は十八銀と親和銀がともに融資する企業のうち数百社に聞き、譲渡できるのは「数百億円規模」と判断した。だが公取委が納得するとされる「2千億円程度」には及ばず、昨年7月、経営統合の無期限延期に追い込まれた。
今回は前回よりも対象を拡大し、十八銀と親和銀が取引する長崎県内の中小企業の全社に意向を尋ねる方向。1カ月ほどかかる見込みという。帝国データバンク長崎支店によると、両行の取引先で県内に本社をおく中小企業は約1万3千社。ただ銀行側には、「大幅な上積みは現実的ではない」(銀行幹部)との見方もあり、公取委との溝を埋められるかは不透明だ。(高橋尚之)