商品のバーコードをスマートフォンのカメラで読み取ると、代金の支払いが終わる=東京都中央区
ローソンは23日、利用者にスマートフォンで代金を支払ってもらう「ローソンスマホペイ」の実証実験を一部の店で始めた。人手不足を踏まえ、深夜・早朝に「無人営業」を広く導入していく環境を整える。昼時のレジの混雑を緩め、売り上げの増加も狙う。オフィス街の店などに9月以降、順次導入する予定だ。
この実験は、東京都中央区と品川区の計3店で5月末まで実施する。店に入った人はローソンの公式アプリを起動。商品を棚から手に取り、そのバーコードをスマホのカメラで読み取って支払い方法を選ぶ。一連の決済はその場でできる。レジに並ぶことはない。
支払いの方法は、電子決済サービスの「アップルペイ」や「楽天ペイ」、クレジットカードから選べる。店に入ってから出るまでの時間を従来の3分から1分に短縮できるとみている。
この3店の午前1~4時は店員がレジでの接客はしない「無人営業」にする。酒やたばこなど販売免許が必要な商品の場合、倉庫などで作業している店員を呼び出してもらう。店を出る時には、決済画面を出口の端末にかざしてもらう。
ローソンは、こうしたスマホ決済を中国・上海に構える約1千の全店で導入済みだ。国内の店での採用のペースや、それに伴う「無人営業」の展開は、実験の結果を踏まえて決める。
竹増貞信社長は「レジの台数は増やせないが、スマホ決済で生産性を上げ、機会ロスをなくしたい」と話す。
同社は今年を「デジタル元年」と位置づける。決済から商品の袋詰めまですべて自動で行う「レジロボ」の実証実験も来月から始める。
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「ローソンスマホペイ」を実際に使ってみた。店に入ると同時にアプリを立ち上げて、自分がいる店を選ぶ。あとは商品を手に取ってスマホのカメラにかざせば、支払いは終わる。商品をレジに持って行く必要はなく、便利だ。
コンビニでの買い物は、スーパーのようなまとめ買いはあまりしない。朝の通勤時間帯やオフィス街の昼食時など、レジ前の長蛇の列に並ぶ必要がないのもうれしい。
ただ、万引き対策は大丈夫だろうか。今回の実験店でローソンは、防犯カメラの数を増やしていない。決済の画面を出口の端末にかざさなくても、店を出ることはできる。実験の結果によっては、防犯カメラを増設したり、決済しないと店を出ることができないようにシステムを変えたりするという。
竹増社長は「現在も万引きの抜本的な対策はない。検証してみるが、そんなに心配していない」と話す。(牛尾梓)