20日、オランダ・ハーグの化学兵器禁止機関(OPCW)で、調査に備えてガスマスクなどを試す職員ら=AFP時事
化学兵器禁止機関(OPCW)は21日、シリアのアサド政権による化学兵器使用疑惑を確認するため、調査チームが首都ダマスカス近郊の東グータ地区ドゥーマに入ったと発表した。調査は当初、16日からの予定だったが、治安悪化を理由に2度延期されていた。
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OPCWは採取した物質や現場の状況をもとに今後、化学兵器が使われたかどうかを調べる。再度、現地調査する可能性もあるという。調査の目的は使用の有無を明らかにするためで、誰が使ったかまでは特定しないとみられる。
化学兵器の使用疑惑がもたれているのは、4月7日にドゥーマであった空爆。シリアの反体制派は「アサド政権軍が化学兵器を使った」と主張し、米英仏は14日、使用を理由にシリアへのミサイル攻撃に踏み切った。一方、アサド政権は潔白を主張。OPCWに専門家の派遣を依頼し、16日から9人の調査団がドゥーマに入って2日間活動する予定だった。
だが、アサド政権とロシア軍は、米英仏の空爆で「安全上の問題」が発生したとして、16日からの調査開始を拒否。OPCWは18日に改めて調査しようとしたが、その前日に安全確認のためにドゥーマに入った国連の警備職員が銃撃され、再び延期されていた。
米国務省は「ロシア当局者とアサド政権が証拠隠滅を図っている」と非難している。(ブリュッセル=津阪直樹)
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