天華えま=4月10日午前、兵庫県宝塚市、槌谷綾二撮影
星組「ANOTHER WORLD」の新人公演(5月15日)で、天華(あまはな)えまが主演を務める。星組の98期生は新人公演の最年長。自身は3度目の主演で、「ただ驚きだった1度目、不安しかなかった2度目。それがあったから、今回うれしい気持ちになれた。楽しめる舞台を作りたい」と頼もしい。
滋賀県出身で、お笑いは昔から身近にあった。今でも劇場にたびたび足を運び、「売れている芸人さんは、間と人の使い方がうまい」と力説する。寄席も大好き。それだけに、今回の公演への思い入れは強い。「関西弁でテンポ感がすごい。主演は息つく暇もないほどですが、スタミナを切らさずにやっていきたい」
初めての新人公演主演で薩摩藩士を演じた時は、重い刀を購入し、毎朝素振り100回をしたほどの頑張り屋。「いろんな武器を使ってきたので何でもできます。立ち回り担当で」とにっこり。
しかし、2度目の主演のイギリス貴族パーシーは、役がつかめず苦しみ抜いた。そんな時は3歳からファンだという天海祐希の舞台映像を見る。「悩みも自分の嫌な部分もすべて忘れて勇気がもらえる。立ち姿だけで泣いちゃうんです」
実は、入団してすぐのころ、歌劇団を訪れた天海の講話を聞いた。この機会を逃せないと、ダッシュで追いかけ、「天海さん、芸名1字いただきました!」。すると、ぎゅっと抱きしめてくれた。もう号泣、号泣。「私の理想を超えてくれる人だった。永遠の目標です」。天をめざして駆けていく。(尾崎千裕)