西春の2番手で登板した2年生の柏木
春季高校野球愛知県大会の準決勝が3日、岡崎市民球場であり、初の4強入りを果たした西春が、今春の選抜に出場した東邦と決勝進出をかけて対戦したが、2―6で敗れた。
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「力負け。ヒットの数も、スイングの力も比べものにならない。個々の力で負けていた」。西春の主将、八神諒汰(3年)は悔しさをにじませながら言った。
スコアは2―6で、安打数は西春の7に対し、東邦は14。たしかに、数字上は「力負け」だが、OBでもある森藤秀幸監督には手応えもある。
「守備やバントのミス。捕れる飛球を落としたのもあった。課題はたくさん出ましたが、その中で(コールドになるほど点差が開かず)九回までやれたのは大きな収穫です」
昨秋は県大会1回戦敗退だった公立校はこの春、快進撃を見せた。
2回戦で中京大中京に9―1でコールド勝ちすると、3回戦は愛知を3―1、準々決勝では愛産大三河を3―2で破った。特に、全国制覇7度の中京を破った一戦は、冬場のテーマだった「打ち勝つ野球」を体現したような試合となった。
北名古屋市に位置し、今年で創立40周年。昨年度は名古屋大に32人が合格し、京都大や大阪大にも合格者を出す進学校だ。文武両道を実践するため、完全下校は午後6時。野球部の練習も午後5時半までと決められている。「練習開始が4時ごろなので、始まったと思ったらすぐ終わる。生徒はよくやっていると思います」と森藤監督。限られた練習時間、他部と共用のグラウンドという環境で、テニスボールを使った打撃練習などに励んだ成果が、チーム史上初という「4強」につながった。
もちろん、快進撃を「春」だけで終わらせるつもりはない。この日は、準々決勝で完投したエース尾崎聡大(3年)を登板させず、2人の左腕の継投で臨んだ。「8強入りが決まったくらいから、選手たちには『勝負は夏』と話していました。夏は投手一人では勝てないので」と監督。100回記念大会の今夏、大会が東西に分かれる愛知からは2校が出場できる。その目はすでに、甲子園初出場に向けられている。(山口史朗)