御堂筋線の天王寺駅に設置されたホームドア=2018年4月19日午後、大阪市阿倍野区、遠藤真梨撮影
地下鉄駅のホームドアの設置をめぐり、大阪メトロが頭を悩ませている。東京メトロは昨年、2025年度までに全179駅に設置する計画を発表したが、大阪メトロは「いつまでというのは言いづらい」と歯切れが悪い。どうしてなのか。
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「なかなか、すべてを対象にいつまでというのは言いづらい」。4月に大阪市交通局から地下鉄事業を引き継いだ「大阪市高速電気軌道」(愛称・Osaka Metro〈オオサカメトロ〉)の河井英明社長(63)は、就任に向けたインタビューで口ごもった。ホームドアの設置時期を尋ねたときのことだ。
その4日前、時事通信のインタビューでは「全駅に3年以内に設置したい。資金面は十分手当てできる」と明言していた。それを軌道修正したのだ。河井氏は「思いとしてはそれくらいの年数でやらなきゃいけない。(しかし)あまり輸送力を落とすわけにはいかないんですよ」と釈明した。
転落事故を防ぐホームドア。前身の大阪市交通局は停車位置を自動制御できる装置を使えるニュートラムや今里筋線から順に、全133駅のうち54駅に設置した。ただ、全駅設置に向けて「1駅あたり数億~十数億円」(国土交通省)と言われる費用以上に課題となるのが「輸送力」という。
大阪市の中心部を南北に貫く御堂筋線は1日に116万人が利用する。全20駅のうち、特に転落事故が多かった天王寺駅と心斎橋駅に15年にホームドアを設置したところ、その課題が浮かび上がった。
設置するとドアの開閉や安全確認に時間がかかる。このため、平日朝8時前後のラッシュ時の運転間隔を、最短2分から2分15秒に広げた。その結果、この時間帯に心斎橋駅を発着する上り列車は29本から25本に減り、梅田―淀屋橋駅間の混雑率は142%から150%に上がった。
大阪メトロによると、もともと「ギリギリまで運転間隔を詰めていた」ため、設置を進めればさらにダイヤ改定を迫られ、混雑が増す可能性があるという。
3月20日の大阪市議会交通水…