イスラエルのネタニヤフ首相は6日、朝日新聞など一部の外国メディアに対して、イランと米英仏中ロ独の6カ国が結んだ核合意について「致命的な欠陥がある」と批判し、改めて抜本的な見直しを求めた。トランプ米政権が、合意から離脱するか否かを決断するとしている12日を前に、イスラエルとして現状の核合意を受け入れられない方針を強調した。
2015年に結ばれた核合意は、イランが核開発を制限する見返りに欧米が経済制裁を緩和するという内容になっている。トランプ氏が、イランの核開発再開の可能性に言及し、新たな弾道ミサイル開発の規制などを盛り込むことなどを要求。これに対して欧州は枠組み維持を目指している。
ネタニヤフ氏は6日の核合意に関する背景説明の中で、「イランに核兵器のノウハウを隠し持たせる恐ろしい合意だ」と非難。「完全に修正するか破棄するかしなければならない。何もしなければ、イランは非常に短期間で核兵器を保有するだろう」と訴え、トランプ氏と歩調を合わせた。
ネタニヤフ氏は4月30日、イランの核兵器開発計画の「新証拠」を入手したと発表し、「イランは核兵器開発計画はないとうそをついた」と主張。イラン側は完全に否定していた。
一方、核合意見直し論にイランはいら立ちを強めている。ロハニ大統領は6日、「核合意が悪い取引だと言っているのは米国、イスラエル、サウジアラビアだけだ。米国が離脱すれば歴史的な後悔に直面することになるだろう」と強く牽制(けんせい)した。(エルサレム=渡辺丘、ベイルート=杉崎慎弥)