新潟県阿賀野市の五頭(ごず)連山へ5日に登山に出かけて行方不明になっている親子をめぐり、県警は10日夜、記者会見を開き、連絡ミスで捜索の開始が遅れていたと明らかにした。県警阿賀野署管内の駐在所員が従来の説明より約9時間早く遭難の可能性を知らされていたが、署や県警本部に伝わっていなかった。水沢晴夫・県警地域課長は「捜索を組織的に始めるべきだった。初動の遅れがあった」と謝罪した。
署によると、行方不明になっているのは新潟市北区の会社員渋谷甲哉さん(37)と、長男で小学1年の空くん(6)。
署はこれまで、渋谷さんの父(73)が6日午後6時ごろに署を訪れて遭難届を出したと説明。だが実際は同日午前9時20分に父が管内の駐在所を訪れ、駐在所員の60代男性巡査長に口頭で、5日に親子から道に迷った連絡を受けたと伝えていた。駐在所員は署に伝えず、自ら山のふもとにパトロールに行ったという。9日、阿賀野市から署への情報提供で明らかになった。
県警が捜索を始めたのは7日早朝。親子の行方は10日夜時点でわかっていない。
親子は5日午前に入山したとみられる。松平山(標高954メートル)に向かう登山道で5日午後2時ごろに似た親子が目撃されている。5日夕、渋谷さんの父に携帯電話で「道に迷ったので野宿する」との連絡があり、6日朝には「これから下山する」と話したという。