ワシントンで開かれていた米中の閣僚級通商協議が18日、2日間の日程を終えた。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、中国側は米国からの輸入を増やす方針を示したが、米側が求める規模での貿易黒字削減には難色を示した模様だ。
協議に参加したカドロー国家経済会議議長は、米メディアの取材に「取引がまとまるにはまだ時間がかかるかもしれない」と指摘。ただ、同氏はフォックスビジネステレビで「トランプ大統領はこれまでになかったような熱意と前向きな見通しを示している」とも述べ、歩み寄りへの期待感も示した。
中国メディアも19日、協議に参加した関係者が「話し合いは積極的で、建設的で、豊富な成果がある」と述べた、と報じた。
前回の北京での閣僚級協議で、米国側は2020年までに18年比で少なくとも年間2千億ドル(約22兆円)の対米貿易黒字を減らすよう要求。しかし、17年に米国が中国に輸出した物品の規模は約1300億ドルで、実現のハードルは高い。中国外務省は18日、「2千億ドル」の削減を中国側から提案することについて公式に否定した。
ただ、中国側は18日、米国産コーリャンの不当廉売の調査で相殺関税を課さないと発表し、歩み寄りの姿勢も示している。習近平(シーチンピン)国家主席も貿易黒字の拡大にこだわらない意向をかねて表明していた。
カドロー氏は今回の協議で「中国側が多くの点について我々の要求に応じつつある」と主張。米側からの輸出拡大が望める分野としてエネルギーや農産物、金融サービスなどを挙げた。また、協議の焦点の一つだった中国通信機器大手・中興通訊(ZTE)について、米政権が進めている制裁に代わる要求として経営陣の交代なども含まれると説明。「依然として厳しい対応になる」との認識を示した。(ワシントン=青山直篤、北京=福田直之)