板門店で27日、北朝鮮の金正恩委員長(左)と韓国の文在寅大統領が「民族の春」と名付けられたチョコレートの円形ドームを開けた=韓国共同写真記者団撮影
金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は大いに酒を飲み、顔を赤くした――。27日の南北首脳会談後の夕食会の模様を、韓国大統領府関係者が29日明らかにした。「どんな国賓の夕食会よりも、自由に会話が交わされた」という。
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夕食会には文在寅(ムンジェイン)韓国大統領、金正恩氏の両夫妻など南北あわせて約60人が出席。テーブルには南北融和の象徴として、平壌の有名店「玉流館(オンリュグァン)」の冷麺などが並んだ。メニュー発表の後、韓国で話題を呼び、27日の昼食時には冷麺店に客が殺到したことなどが紹介されると、どっと笑いが起きたという。平壌冷麺は会談で正恩氏が「苦労しながら持ってきた」と話題にしていた。冷麺は辛みのない水冷麺と、とうがらしをベースにした薬味だれをかけたピビン冷麺が用意されたが、両夫妻とも水冷麺を所望したという。
宴席の最後には、朝鮮半島が描かれた「統一旗」の飾り付けを乗せたマンゴームースが出された。大きなチョコレート製のふたがかけられており、文氏と正恩氏は一緒に木槌(きづち)で割ってみせた。ムースの飾り付けには、日韓が領有権を争う竹島(韓国名・独島)が描かれており、日本政府はメニューの公表後、抗議していた。
夕食会ではプレゼントも交換されたが、大統領府は内容を公開していない。(ソウル=武田肇)