米中の貿易摩擦をめぐり、ムニューシン財務長官ら米経済閣僚と中国の劉鶴(リウホー)副首相らによる北京での協議が4日、終わった。中国国営新華社通信によると、米中は「対話と協議で問題を解決するよう注力する」ことで一致したという。摩擦解消に向けた具体的な成果は示されていない。
新華社通信によると、米中の貿易不均衡の是正や知的財産保護などで意見交換した。「共通認識に達した領域」もあったが「大きな対立点」もあり、新たな交渉の枠組みで話し合いを続けていくことで合意した。
米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、米国は協議前、中国に対して①2020年までに2千億ドル(約22兆円)の貿易黒字を減らす②産業政策「中国製造2025」で概説されているハイテク産業への補助金や支援をやめる③重大な分野をのぞく全商品の輸入関税を米国より高くしない④知財を巡る米国の措置に反撃しない――ことなどを要求したという。中国側に極めて厳しい内容だ。
一方、ロイター通信によると、中国側は米国に対し、中国の投資に新たな規制を設けないことなどを求めた。中国商務省は米国が通信機器大手中興通訊(ZTE)に米国産品の輸入禁止を科した問題を協議の場で取り上げ、厳重な申し入れをした。
トランプ米大統領は協議を受け、対中貿易政策を決める。強硬路線を貫くのか、妥協点を探るのか、秋の中間選挙をにらんだ判断が注目される。(北京=福田直之、ワシントン=青山直篤)