ネット依存症は、オンラインゲームやSNSなどのやり過ぎを自分でコントロールできない状態だ。心身の健康悪化、遅刻や不登校、家庭内暴力などの問題が起きている場合に依存症と判断する。厚生労働省研究斑の2012年度の推計では、ネット依存症の恐れがある中高生は52万人に上った。ネット依存症のうち最も多いのはオンラインゲームへの依存だ。
世界保健機関(WHO)は今年6月に公表する疾病分類の改訂案で初めて、ゲーム依存症を「ゲーム障害」として疾患名に入れる。
WHOの定義は、ゲームをする時間などを自分でコントロールできず、他の関心事や日常の活動よりもゲームを選ぶほど優先度が高く、様々な問題が起きてもゲームを続けたり、より多くゲームをしたりする状態。原則としてはそういった状態が12カ月以上続くとゲーム依存症と診断されるが、症状や問題が深刻な場合にはもっと短期間でも診断できるとしている。
治療は、医師や臨床心理士らによるカウンセリングが主体となる。全国で初めて専門外来を開設した国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長は「意志が弱いからゲームやネットをやめられないのではなく、依存症という病気。依存症の状態に陥ったら個人や家族の努力だけで治すのは困難なので、専門機関の治療を受けてほしい」と話す。
依存症まではいかなくても、依存の恐れがある場合はどうしたらいいか。樋口院長が勧めるのは、まずは自分がどれぐらいゲームなどをしているのか実態を把握することだ。毎日、何時から何分間、ゲームやネットをしたかを記す。
実態を把握したら、今度は「食事中はゲームをしない」「ベッドに入ったらゲームをしない」など、短時間でいいのでスマートフォンなどをいじらない時間帯を決める。次の段階で、ゲームも含めてネットをいじる上限時間を決める。
「目標を立てる時に大切なのは、実現可能な内容にすること」と樋口院長はいう。例えば「通学中にゲームをしない」という目標を立てても、何年にもわたって通学中にゲームをしていた人が、周りにゲームをしている人が大勢いる電車の中で我慢するのは難しい。ゲームをする時間を減らす分、音楽鑑賞やスポーツなど、別の楽しみを見つけると目標を達成しやすいという。