26日午後、南北首脳会談で握手する文在寅氏(左)と金正恩氏(韓国大統領府提供)
韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が26日、予告なく板門店で再会談した。トランプ米大統領による米朝首脳会談の中止発表を受け、関係各国の動きは激しくなっている。歴史的な米朝首脳会談の実現につながるのか。
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24日に米朝首脳会談の中止を突如発表したトランプ米大統領だが、その直後に北朝鮮が会談を望む談話を出したことを受けて、「とても素晴らしい声明だった」と評価。一転して会談の再設定に前向きな姿勢を見せた。今回の南北首脳会談も、米朝会談の実現を後押しする動きとして評価するとみられる。
北朝鮮問題を巡って米韓両国は、「二人三脚」で準備を進めてきた。トランプ氏は3月、韓国の特使団を迎えた際に、米朝首脳会談を望む正恩氏のメッセージを伝えられ、会談開催に応じる決断をした。
しかし、北朝鮮側が16日に米朝首脳会談の「再考」に言及して以降、トランプ氏は北朝鮮の対応に不信を募らせていた。
22日に訪米した韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は、トランプ氏との会談の際に金正恩氏の非核化の意思は固いと伝えた。しかし北朝鮮は24日にペンス副大統領を「ダミー(まぬけ)」と非難。怒ったトランプ氏が同日、文在寅氏に相談することなく、首脳会談の中止を発表し、米韓両国間には「すきま風」が吹いていた。
だが今回の南北首脳会談は、米朝首脳会談の再設定に向けて前向きな姿勢を示すトランプ氏と連動しているとみられる。トランプ氏は25日、米国が北朝鮮と対話を始めていることを明らかにし、「何が起こるか見てみよう」と述べ、今後の動向を注視する考えを示していた。
米韓両国が再び緊密に連携することで、米朝首脳会談の実現に向けた機運が高まる可能性がある。(ワシントン=園田耕司)
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