森友学園との国有地取引に関する財務省の公文書改ざん調査に対し、与野党から5日、批判が噴出した。国会審議では同省が職員らに調査した際、安倍晋三首相夫妻への忖度(そんたく)があったかについて質問していなかったことが判明し、野党が反発。自民党総務会でも異論が相次ぎ、党として調査を検証することになった。
衆院財務金融委員会で野党会派「無所属の会」の大串博志氏は、財務省が調査の際、首相夫妻の関与や首相夫妻に対する忖度によって改ざん、廃棄をしたかを明示的に質問したのかただした。財務省の矢野康治官房長は動機については聞いたとしつつも、「そのような誘導的な聞き方はしていない」と説明。大串氏は「(疑惑の)核心だ」と反発した。
国民民主党の今井雅人氏は、改ざんが行われたのは昨年2月に首相が「私や妻が関係していれば、首相も国会議員も辞める」と答弁したことがきっかけではないかと追及。麻生太郎財務相は「調査で安倍総理の発言をきっかけとして、そういうことになったという事実は認められていない」として否定した。
一方、自民党が5日に開いた総務会では、「当事者の調査だけではだめだ」などと財務省調査への異論が相次いだ。竹下亘総務会長は終了後の記者会見で、調査結果について「誰がどう指示をして、動機は何だったのか、ストンと落ちなかった」と指摘。岸田文雄政調会長と会談し、幹事長室にある森友問題に関する検証委員会の活用を含めて検討することを決めた。
こうした中、安倍首相は5日、閣僚会議でコンプライアンス(法令や社会規範の順守)意識の向上など再発防止を指示。財務省のほか、イラク派遣の日報問題があった防衛省に対するヒアリングを実施し、内閣府や総務省が具体策を検討、6月中にも取りまとめる。