第2次安倍政権以降の主な不祥事
財務省による文書改ざんは、国会での紛糾を回避する目的だったとする調査結果がまとまった。ウソの答弁を1年以上も続けた政治の責任にフタをして、安倍晋三首相は麻生太郎財務相を続投させる。政権の屋台骨を失うわけにはいかないという首相の内向きの都合と、それを黙認する自民党の事情からだ。
財務省文書改ざん タイムライン
4日夕。安倍首相は記者団の前で麻生氏の続投を表明したあと、一度、背中を向けて立ち去りかけ、「政治責任はどこにあるのか」という問いに対し、マイクの前に戻って答えた。「こうしたことが二度と起こらないように対策を徹底して講じていくことだ」
公文書の改ざん、意図的廃棄、事務次官のセクハラ――。これだけの失態が続いた官庁のトップとして、責任を取るべき大臣の進退に発展しないこと自体が異例中の異例だ。首相自身も第2次政権発足以降、自らに近い閣僚でも更迭したり、辞任を受け入れたりしてきた。ところが、麻生氏については、改ざん問題の発覚から一貫して続投方針を変えなかった。
財務省の調査結果は、国会審議の紛糾を回避するという目的で改ざんが行われたと認定。1年以上にわたって、国会にウソをつき続けた前代未聞の不祥事を認めた形だが、改ざんなどに関与したのは佐川宣寿(のぶひさ)・前理財局長ら財務省の一部職員だけだったと位置づけることで、首相や麻生氏に対する政治責任論への発展を防ぐ役割を担っている。
なぜ、麻生氏は続投なのか。首相が再登板することになった2012年の自民党総裁選で、麻生氏は当初劣勢だった首相の支持を派閥領袖(りょうしゅう)として表明。菅義偉官房長官と政権の要であり続けた。しかも森友問題で問われてきたのは、首相と妻昭恵氏の関与の問題だった。麻生氏の辞任は、イコール首相自身の退陣へと直結する。閣僚経験者は「麻生氏は弁慶の役割だ」と解説する。
さらに首相が3選を目指す今秋…