トランプ米大統領は7日午後(日本時間8日未明)、米ホワイトハウスで安倍晋三首相と会談し、12日にシンガポールで開催される米朝首脳会談について協議した。トランプ氏は会談後の共同記者会見で、朝鮮戦争の終結に向けた合意文書に署名することで調整していることを明らかにした。また、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長に日本の拉致問題を提起すると強調。安倍首相も正恩氏との日朝首脳会談を通じて、拉致問題の解決を目指す意欲を示した。
正恩氏、ディールできる相手 人物分析にトランプ氏動く
トランプ氏はこの日、記者団から朝鮮戦争の終結に向けた方針について問われ、「(終結)合意に署名することは間違いなくあり得る」と述べ、「我々は北朝鮮側と協議している」と語った。
そのうえで朝鮮戦争の終結について「(米朝交渉の)始まりだ。たぶん(交渉の中では)簡単な部分であり、その後に難しい部分が残っている」と述べた。「難しい部分」とは非核化に向けた措置などを指すとみられる。北朝鮮との国交正常化についても「すべてが片付いたらもちろんそうしたい」と述べ、実現に意欲を示した。
1950年に始まった朝鮮戦争は53年に米国と北朝鮮、中国によって休戦協定が結ばれたが、平和協定が締結されていないため、現在も戦争は継続状態となっている。
トランプ氏はこれまでも朝鮮戦争の終結に意欲を示している。1日には「(朝鮮戦争は)最も長い戦争だ。ほぼ70年間だろ? (戦争終結は)歴史的にとても重要だ」と述べ、米朝首脳会談で戦争終結を協議することに前向きな姿勢を示していた。
一方、トランプ氏は1日に受け取った北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の親書について問われると、「とても心温まる手紙だった」と評価。米朝交渉が成功したのちには正恩氏を米国に招待する考えを示した。
ポンペオ米国務長官も7日、米ホワイトハウスで記者会見し、今年の訪朝時に正恩氏と会談した際、正恩氏から非核化の意思を確認したことを明らかにした。ポンペオ氏は、米朝首脳会談後の13、14両日にソウルを訪問して日米韓外相会談を開催し、米朝首脳会談の結果を報告する予定。14日には北京を訪問する。(ワシントン=園田耕司、土佐茂生)