日本生命保険のロゴ
日本生命保険は、銀行窓販向けの円建て一時払い終身保険の販売を再開する方針を固めた。日本銀行のマイナス金利政策で運用が悪化したため販売をやめていた。しかし円建ての貯蓄型保険への需要は根強く、運用方法を見直すなどして年度内にも再開する。日生がマイナス金利導入後に販売停止した商品の販売を再開するのは初。
一時払い終身保険は、保険料を加入時にまとめて払い、予定利率で運用された金額を死亡時に受け取る貯蓄型の保険。安定的な国債などで運用される。銀行窓販では比較的高齢の顧客向けに、資産運用や富裕層の相続税対策で売れていた。
しかし2016年2月のマイナス金利政策導入後、国債利回りが急低下して運用が悪化し、約束通りの利回りを達成できなくなった。生保業界では貯蓄型の保険商品の販売停止が相次ぎ、日生も円建ての一時払い終身保険では自社の営業職員による販売は続けたが、銀行窓販は停止した。
日生はマイナス金利政策が終わり運用環境が改善すれば販売を再開する方針だったが、今なお同政策は続き、運用は厳しい。それでも日生は「円建て商品には根強いニーズがある」(幹部)と再開を決めた。国債以外のリスク資産の運用を増やすなどして一定の利回り確保を目指す。
生保業界では、円建てに代えて外貨建ての貯蓄型保険を売る動きがあるが、為替リスクがあり、加入に慎重な顧客も多い。円建ての保険への需要に応えることで、販売増にもつなげる狙いがある。
一時払い終身保険では、明治安田生命が6月から予定利率を0・3%から0・35%に引き上げ、販売拡大を目指す動きに転じている。(柴田秀並)