会談に臨む野党の国対委員長ら。中央は立憲民主党の辻元清美氏=10日午前9時32分、国会内、岩下毅撮影
民進党と希望の党は10日、国会での統一会派結成に向けた政策調整を始めた。民進が当初目指した立憲民主党を含む3党での会派結成は、立憲の拒否で絶望的になっており、2党による協議を先行させた。ただ、民進、希望の両党内で連携には反対論が強く、強行すればそれぞれ分裂含みの展開になる可能性がある。
民進の増子輝彦幹事長はこの日、希望の古川元久幹事長と東京都内で会談。安全保障関連法の容認を前提に「必要な見直しの議論を行う」とする希望の立場について、古川氏から説明を受けた。同法の「白紙撤回」を求める民進とは相いれない考え方だ。ところが、増子氏は会談後、記者団に「十分協議に値する。小異を捨てて大同につくことも必要だ」と説明した。
民進執行部の一部が希望との連携に前のめりなのは、立憲が統一会派結成を「野合」と批判して参加を拒むなか、2党でも会派を組めば野党第1党の座を立憲から奪え、国会での存在感を高められるとの思惑がある。希望との統一会派結成を事実上先行させる方針は、10日の民進の常任幹事会でも了承された。22日に召集される通常国会までに交渉をまとめたい考えだ。
だが、党内では、希望からの立候補を拒否して、党籍を残したまま無所属で衆院選を戦った議員を中心に、「希望と会派は組めない」との声が根強い。民進議員らの衆院会派「無所属の会」(岡田克也代表)は10日、2党先行で協議する場合は立憲を優先する、と党と異なる方針を確認した。ベテラン議員は「希望との会派結成を強行で決められるはずがない」と話した。
一方の希望側も一枚岩とはいえない。党の支持率は衆院選後、報道各社の世論調査で1%前後と低迷。統一会派結成を党勢回復の契機としたいのが本音だが、結党メンバーを中心に民進との連携には否定的な声がくすぶる。行田邦子参院議員は自身のブログに「憲法改正と安全保障を見ても、民進党と希望の党は一致しているとは言い難い」と書き込んだ。結党メンバーの一人は「考えが違うから分かれた。また一緒になるなら離党だ」と話す。(岡本智、斉藤太郎)