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子猫・子犬販売「生後8週は禁止」議連が案 反対根強く

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生後49日の子猫たち。親元から引き離すには早すぎるとされている


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生後56日以下の子犬や子猫の販売を禁じる「8週齢規制」を柱とする動物愛護法の改正項目案を、超党派の議員連盟がまとめました。あまりに早く犬猫を親元から離すと、人をかむなどの問題行動につながりやすいためです。ただ、消費者が「かわいい」と感じやすい幼い犬猫の方がよく売れるため、ペット関連業界の反対は根強く、規制が実現するかどうかは予断を許しません。


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超党派で作る「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」(会長=尾辻秀久参院議員)は16日、動愛法改正プロジェクトチーム(PT)の会合を開き、改正項目案を取りまとめた。PT座長を務める自民党の牧原秀樹衆院議員は「皆さんの思いをできるだけ受け止めた。すばらしい改正をおこないたい」と話した。


PTでは昨年3月からの12回の関係者ヒアリングなどを経て、8週齢規制の導入を決めた。同じような規制は欧米先進国の多くで導入されているが、日本ではペット関連業界の反対が強く、2012年の動愛法改正で設けられた「生後49日」規制にとどまる。


今回、より厳しい8週齢規制が提案された背景には、海外で規制の必要性を裏付ける研究データの蓄積が進んだことなどがある。麻布大獣医学部の菊水健史教授(動物行動学)が環境省から委託された調査でも「(子犬を親元から)引き離す時期を8週齢以降にすることによって問題行動の程度に差が出ることが明らかになった」との結果が出た。米ペンシルベニア大獣医学部のジェームス・サーペル教授(動物行動学)は、菊水教授のこの調査結果について「(日本でも)これで8週齢規制に決まるだろう」と評価する。


世論の後押しもあった。俳優の浅田美代子さんや複数の動物愛護団体から、8週齢規制などを求める署名がそれぞれ1万~10万人分以上、環境省に提出されている。


根強い反対も 実現不透明


8週齢規制で期待されるのは、幼い犬猫に親元で適切な「社会化期」を過ごさせて問題行動を減らす効果だけではない。


大阪大大学院人間科学研究科の入戸野(にっとの)宏教授(実験心理学)は次のように指摘する。頭が大きくて体が丸々としているなどの幼い犬猫のかわいさは、見た人に強いプラスの感情を引き起こし衝動買いにつながる。だが実際に飼ってみて、ふんやおしっこをする、かみつく、ひっかく、想像より大きくなるなどの「害」が生じると、プラスの感情はマイナスに転じやすい――。


「かわいさ余って憎さ百倍」というわけだ。ペットへのマイナスの感情が強まれば虐待や飼育放棄に結びつくこともある。


幼齢期特有のかわいさが減り始める8週齢以降にペット店に陳列されれば、衝動買いが抑えられ、「感情の反転」は起きにくくなることが見込まれる。


ペット関連業界が8週齢規制に反対してきたのは、7日分の飼育コスト増を避けたいことに加え、「大きくなると売りにくくなる」と考えるためだ。


ただ、業界内から8週齢規制に理解を示す声も出てきた。


ペット保険大手、アニコムホールディングスの小森伸昭社長は今月11日、18年3月期の決算説明会で「(子犬・子猫を親元から)早く離すとろくなことがないのは事実。56日よりもっと延ばしてもいい」などと発言。大手ペット店チェーンの経営者は「56日を超えてから仕入れるほうが健康状態もより安定しているため、店としても安全だ。消費者にとってもいいに決まっている」。このチェーンでは、今の規制の「生後49日」を超えていても、一定の体重に達しない子犬・子猫は仕入れを見合わせている。


子犬や子猫の販売が好調な今こそ規制導入の時期としてふさわしい、という指摘もある。競り市での犬猫の落札価格は5年前に比べて犬で2~3倍、猫で3~4倍に高騰しており、「特に繁殖業者は利益が出やすい環境にある。今ならコスト増に対応する資金もあるはずだから、規制強化は受け入れやすい。このタイミングを逃さないほうがいい」(別の大手ペット店チェーン経営者)。


8週齢規制と合わせて、議連では、一部の劣悪な繁殖業者のもとに子犬・子猫を長く置くことへの懸念の声が動物愛護団体と業界団体の双方からあがっていたことなどを受け、各種数値規制の導入も掲げている。飼育施設の広さや出産回数、従業員1人あたりの飼育可能数などの数値規制も動愛法の改正項目案に盛り込んだ。具体的な数値については、環境省令で定める考えという。


今回の動愛法改正も議員立法で行われる。議連の改正項目案をたたき台に各党内で調整が進むことになるが、ペット関連の業界団体からの反対はなお強い。議連の与党議員は「自民党の一部議員が規制強化に反対しており、情勢は厳しい」と話している。(太田匡彦)


超党派議連が導入を目指す主な規制項目案


・生後56日以下の子犬・子猫の販売を禁止


・繁殖用の犬・猫の生涯の出産回数に上限を設定


・飼育施設の広さなどについて数値規制を設定


・従業員1人あたりの飼育数について上限を設定



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