サントリーホールディングスの新浪剛史社長
サントリーホールディングス 新浪剛史社長に聞く
2014年5月に160億ドル(当時のレートで約1兆6500億円)で米蒸留酒大手のビーム社(現ビームサントリー)を買収したサントリーホールディングス(HD)。日米の大企業同士が合併する上での課題やメリットについて、新浪剛史社長に聞いた。
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初めのころはぶつかり合いもありました。ビームはアメリカの資本主義の真っただ中にいた一方、サントリーはファミリー企業で、ビール事業は45年連続赤字でも続けていましたから、考え方に違いがあった。こちらはあいまいさがあって、向こうはあいまいさがない。
まずはこちらの考え方をビームに理解してもらいました。失敗を恐れず挑戦してみる「やってみなはれ」と「やり抜いてくれ」の精神です。また、利益を社会に還元する「利益三分主義」。ビームは上場していたので利益を優先するため、やってこなかったところ。私も何度も米国に渡って考え方を浸透させました。
人の交流も増やしました。30~40代の「中間層」の社員に半年間、英語を勉強させてビームに送り、米国でもハイボールを流行させようとしています。スポーツバーなど、若い世代が集まるところに導入してもらっています。高炭酸のレモン風味で「飲みやすい」と反応はいいですね。
社員への調査では、ビームの88%がサントリーと一緒になってよかったと答えました。この結果をみて、4年間の十分な成果が出たと思います。買収された側のモチベーションも高まっています。ビームとの「統合」は6~7合目にあります。
次は、いい商品を出すのが使命。昨年7月に発売した国産ジン「ROKU(ロク)」を世界各地で売り出します。これに続く商品を世界の市場に出していきます。もう一つ二つの商品を時間をかけながらつくり、ブランドを構築していきます。(聞き手・長橋亮文)