会見でロケットの状況などを説明するISTの稲川貴大社長(左)と出資者の堀江貴文さん=2018年6月30日午前、北海道大樹町、白井伸洋撮影
国内民間初の宇宙到達を目指したインターステラテクノロジズ(IST)の小型ロケット「MOMO」2号機の打ち上げが30日、失敗した。昨夏に続く2度目の挑戦だったが、困難さが浮き彫りになった。
ホリエモンロケット2号機が炎上、打ち上げ直後に落下
「まさかこんな…」ロケット打ち上げ失敗、歓声は悲鳴に
「多くの方に協力してもらった。期待に応えられなかったことは深く反省し、申し訳なく思っている」――。ISTの稲川貴大社長は、射場がある北海道大樹町内で開いた会見の冒頭、こう切り出した。
ISTによると、打ち上げ後4秒で推力を失った。何らかの原因で、メインエンジンの燃焼圧力が下がったという。稲川社長は「これまでに見られない現象」とし、原因究明を急ぐという。今後もロケット開発を続ける意思は示したが、「順風満帆とはいかない」と語り、計画が遅れる可能性も示唆した。
出資者の堀江貴文さんは「ロケット開発には『死の谷』がある。それを越えられた会社は(世界中でも)片手で数えられるほどしかないのが現実」とし、今後の資金調達のハードルの高さを改めて語った。
射場から約4キロ離れた有料観覧席で、打ち上げを見守っていた家族連れらも残念がった。
午前5時30分、カウントダウンがゼロになり、ロケットのエンジンが噴射する赤い炎が見えると、「おー」と歓声が湧いたが、直後に炎があがり、「ドン」という爆発音が遅れて聞こえた。観覧席からは炎しか見えず、「どうなったの」「いつ上がるの」と不安がる声が次々に起こった。
打ち上げの失敗を知った大樹スペース研究会の福岡孝道会長(70)は「ショックで言葉が出ない。周りもみんなそうだった」と話した。3日前に射場を訪れた際には、ISTのエンジニアは落ち着いた様子で作業していたと言い、「まさかこんな結果になるとは……」とぼうぜんとした様子だった。(浜田祥太郎、田之畑仁)