原子力規制委員会は25日、昨年度に電力10社が原発事故を想定して実施した訓練で、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)など3原発が、規制委との情報共有が最低評価だったと明らかにした。柏崎刈羽6、7号機は再稼働に向けたおもな審査を通ったが、委員は「福島第一原発事故を起こした東電の評価が低いのは許しがたい」と、今後も低い場合には再訓練を求めた。
訓練は原発の重大事故を想定し、各社が毎年実施。規制委によると、柏崎刈羽の訓練では、東電が規制委に情報を伝えるのが遅く、事故対応の説明が不十分だったという。規制委は「東電は縦割りの印象。社内の連携が弱く担当班に情報が伝わっていない」と分析。情報共有はA~Cの3段階で最低評価のCだった。
ほかにC評価を受けたのは、北陸電力志賀原発(石川県)と中部電力浜岡原発(静岡県)。志賀では、社内の情報共有システムがダウンし、発電所の情報が伝わらなくなった。
実際の事故時には、規制委の報告をもとに首相が「原子力緊急事態宣言」などの判断をするため、規制委は情報共有を重視している。福島の事故では東電と政府の間で十分に共有されず、混乱を招いた。(小川裕介)