民間事業者のカジノ運営を可能にする統合型リゾート(IR)実施法が20日、成立した。現時点で北海道、大阪、和歌山、長崎の4道府県がIRの誘致に必要な区域整備計画を国に申請する方針だ。
カジノ実施法が成立 最大3カ所で設置可能に
「他のエリアより突出して準備が整っているのが、われわれ大阪だ」。大阪府の松井一郎知事は20日、府庁でこう力を込めた。候補地は大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)。府と市は2024年にも開業するスケジュールを想定する。
長崎県はテーマパーク「ハウステンボス」(同県佐世保市)地域への誘致を検討。朝長則男・佐世保市長は20日の定例会見で、「大いなる一歩を踏み出したという感じだ。態勢づくりを県とともに行いたい」と話した。他にも和歌山県や北海道内の苫小牧市、釧路市、留寿都村の3自治体が誘致方針を示している。
根強い反対の声もある。弁護士や司法書士らでつくる「全国カジノ賭博場設置反対連絡協議会」のメンバーら約30人は20日昼、「カジノはあかん」と書かれたプラカードを持ち、国会周辺で成立に反対した。
参加した柴田武男・元聖学院大学教授(金融市場論)は、安倍晋三首相が国会で、カジノでギャンブル依存症が増えると認める一方、新しい依存症対策で「全体数は減っていくと期待している」と答弁したことを批判。「依存症を増やしておいて対策するなど国のやることですか。そもそも依存症を増やさないのがあるべき施策。あり得ないことが国会で議論された」
また、日弁連カジノ・ギャンブル問題検討ワーキンググループ座長の新里宏二弁護士は「世論調査で多くの国民が今国会での成立に反対している。人の不幸を前提とする賭博による国づくりでいいのか。今後もカジノを誘致させない運動を続ける」と話した。