九州一の繁華街、福岡市の天神地区周辺で25日昼、緊迫のカーチェイス騒動が起きた。信号待ちの盗難車両が、職務質問をしようとした警察官を振り切って逃走。パトカーに追われながら約2キロを逃げ続けたが、最後はタクシー運転手の機転で御用となった。
福岡県警中央署によると、盗難車両が見つかったのは25日午後0時50分ごろ。福岡市中央区白金1丁目の市道交差点で、男性警部補(35)が職務質問をするため近づいたところ、急発進して逃走したという。
車は直進レーンにいたが、急発進するとレーンを無視して交差点を右折。パトカーに追いかけられながら、西鉄の高架下を時速約40キロで天神地区方向へ逃げ続けた。クラクションを鳴らしながら、片側一車線の「天神西通り」に入ると、前方の車に次々と接触。騒ぎに気づいて道をふさいだ5台目のタクシーに追突して停止した。
追跡していた警察官が、運転していた住所不定、無職の今井和希容疑者(27)を公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕した。今井容疑者が乗っていた車は午後0時40分ごろ、中央区内で盗まれており、署は窃盗などの疑いでも調べる。
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今井容疑者が追突したタクシーは、福岡市の男性(69)が運転していた。背後からほかの車にぶつかりながら走ってくる今井容疑者の車に気づき、タクシーを車線の中央に寄せて進路をふさいだという。今井容疑者の車はタクシーの右後部に追突して停止。男性は体を打ったが、大きなけがはなかった。「歩道に人が大勢いたので、これ以上先へ進ませてはいけないと思った」と話した。(木下広大)