北朝鮮は朝鮮戦争休戦協定の締結65周年にあたる27日午前、戦争当時に行方不明になった米兵の遺骨を米国に返還した。米朝首脳会談合意に基づく措置で、米朝対話を続けたい北朝鮮側の意欲を示したものだが、非核化措置は進展しないままになっている。
遺骨返還は6月12日の米朝首脳の共同声明に盛り込まれ、米側が履行を重ねて求めていた。北朝鮮は最近、平安北道東倉里(ピョンアンブクトトンチャンリ)のミサイル施設の解体作業にも着手したが、米側が求めている非核化に向けた具体的なスケジュールなどは提示していない。
韓国代表取材団などによれば、米空軍輸送機C17が27日早朝、在韓米軍烏山(オサン)基地から出発。北朝鮮東部の江原道元山(カンウォンドウォンサン)で遺骨の引き渡しを受け、同日午前11時ごろ、烏山基地に戻った。遺骨は55柱前後とみられる。
米朝関係筋によれば、北朝鮮は15、16両日に板門店で行った遺骨返還協議で、発掘作業の費用を支払うよう米側に求めた。米国は今回は支払わないとする一方、今後米朝で行う共同発掘作業の際、今回分も含めて費用を支払う考えを示したという。
北朝鮮は他に約150柱の遺骨を保管するが、5千柱以上が見つかっていない。米朝は1996年から2005年まで共同発掘作業を実施。米国は1回の作業あたり20万~40万ドル(約2200万~4400万円)程度を支払ってきた。(ソウル=牧野愛博)