麻生太郎財務相は27日、セクハラ問題で辞任した福田淳一・前事務次官の後任に岡本薫明(しげあき)主計局長(57)を充てる人事を正式に発表した。森友学園の公文書改ざん問題で辞任した佐川宣寿(のぶひさ)・前国税庁長官の後任には藤井健志・同庁次長(55)を充てる。いずれも同日発令する。
岡本氏は改ざん当時、文書管理の責任者である官房長だったため、文書厳重注意を受け、一時は昇格が見送られる方向だった。しかし、主計局を中心に要職を歴任し、当初から次期次官の有力候補だった岡本氏を起用することで、組織の立て直しを急ぐことにした。
岡本氏の後任には、改ざん問題でたびたび国会答弁に立った太田充理財局長(58)を充てる。一時、岡本氏に代わる次官候補として検討された浅川雅嗣財務官(60)と星野次彦主税局長(58)は留任する。浅川氏はすでに3年連続で財務官を務めており、異例の続投となる。
再発防止に向け、次官をトップにした「コンプライアンス推進会議」を新設することや、ボストンコンサルティンググループの秋池玲子氏を財務省参与に任命することも発表した。
財務省では、佐川氏と福田氏が相次いで辞任し、次官級の「2トップ」が不在という異常事態が続いていた。新体制で再建を急ぐが、改ざん問題で処分を受けたばかりの岡本氏を次官に昇格させる人事は批判を招きそうだ。