昨夏の覇者・花咲徳栄が8日の第4試合で、鳴門(徳島)と対戦する。北埼玉大会では下位打線も本塁打を放つなど「強打の徳栄」は健在。さらにこの1年、海のない埼玉県にうまれた「徳栄ビーチ」で、選手たちはパワーアップしてきた。
甲子園の全試合をライブ中継 バーチャル高校野球
夏の甲子園、歴代最高の試合は? 投票ベストゲーム
埼玉県加須市にある花咲徳栄。専用グラウンドの外野フェンス沿いに、長さ約180メートル、深さ約30センチの砂場がある。昨年12月に作られた、徳栄ビーチだ。
選手たちは冬場のほぼ毎日、ウォーミングアップとしてこのビーチでダッシュや片足ジャンプなど計5~6種のメニューをこなしてきた。岩井隆監督(48)は「夏に走り負けないことと、スピードを求めたかった」と狙いを語る。
昨夏のチームは「破壊力」をテーマに掲げ、2016年冬から、10~15キロのハンマーでタイヤをたたく「ハンマートレーニング」に取り組んだ。昨夏の甲子園は強打で頂点に立った。
そして今夏のチームは、ハンマートレーニングを続ける一方、徳栄ビーチで新たに「腸腰(ちょうよう)筋」を鍛えることにした。腸腰筋とは、背骨、骨盤、足の付け根をつなぐ筋肉のこと。鍛えると走る際にひざが上がり、スピードが速くなるという。
その効果を選手も実感している。成本龍哉君(3年)は「きついです。砂の上は踏ん張りも必要で、体力も奪われる」と苦笑い。だが、昨春の体力測定で7秒2だった50メートル走のタイムが、今春は6秒5になった。「球に楽に追いつけるようになり、守備範囲が広くなった」と話す。
「ハンマー」と「ビーチ」で鍛錬してきた選手たちが夏の連覇を狙う。(高絢実)