北埼玉大会は22日に準決勝があり、花咲徳栄が4年連続7回目、上尾が10年ぶり12回目の決勝進出を決めた。公立校の上尾は34年ぶりの甲子園出場を目指す。23日は、午前10時から県営大宮球場で南埼玉大会の決勝があり、浦和学院と川口が頂点をかけて戦う。
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(22日、高校野球北埼玉大会 花咲徳栄11―0滑川総合)
打倒、花咲徳栄。練習を重ねてきたのは、この日のためだった。
五回裏2死一塁、代打で滑川総合の岡村哲太選手(3年)が打席に入った。必ず出番は来ると思い、心の準備はできていた。
チームは、四回までに11失点した。五十嵐俊一監督が「状態がよかった」という岡村君を送り出した。
「開き直ってやろう」
狙っていた直球にバットを振り抜くと、左前に打球は力強く飛んで一、二塁と反撃機を広げた。
腰のけがに悩まされ、春の県大会はベンチに入れず焦りもあった。だが、プレーできない間はチームメートのフォームや工夫を見て、技術を盗んだ。
けがが治り、練習試合でもきちんと結果を出して、今大会のベンチ入りがかなった。ポジションは捕手。後輩捕手とも鍛錬してきた。
チームは2年前の夏と昨秋、花咲徳栄に負けた。学校のグラウンドの点数板に昨秋のスコアを貼り付け、悔しさを忘れないようにした。負けた試合を通じて「打てなければ勝てない」と実感した。「打撃」や「走塁」などチームを15部門に分け、各部門に主将を置く態勢で、監督でなく部員主導で打力を向上させてきた。それが今大会4試合で計65安打という結果にあらわれたが、この日はわずか4安打に抑えられた。
徳栄に雪辱はならなかった。岡村君は「勝てずに悔しい」と話す一方で、この1本は練習の成果であり「1人で打ったわけではない。いろんな練習に付き合ってくれた仲間がいたおかげ。思い切ってやった結果が安打になった」と思う。
「チームの方向性は合っていると思う。これから練習の質や精度をもっと上げれば、徳栄に勝てる」
後輩たちにリベンジを託した。(高絢実)