(24日、高校野球北埼玉大会決勝 花咲徳栄4―1上尾)
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古豪復活へ、埼玉の県立校・上尾の挑戦はあと一歩届かなかった。
上尾は1975年、夏の甲子園準々決勝で原辰徳らを擁する東海大相模に競り勝って4強入りするなど、70~80年代の埼玉の野球をリードしてきた。この日はは34年ぶりの夏の甲子園出場をかけた戦いだった。
一回、1番の小川竜太朗が注目右腕の花咲徳栄・野村佑希のボールを捉え、中前安打。手堅く送りバントで1死二塁。3番の日野吉彬が右前へ運ぶ適時打を放って先制した。
三回に追いつかれ、四回に2点勝ち越しを許したが、エースの木村歩夢は慌てるそぶりは見せかった。「強いチームには内角を攻めないと抑えられない」と120キロ後半の直球で思い切りよく内角を突き、キレの良いスライダーで空振りを奪った。ただ、打線が二回以降、散発3安打に抑え込まれた。
高野和樹監督は34年前に選手として甲子園に出場した上尾OB。「うちの練習は厳しいですよ」と言う。しかし、野球だけに注力しているわけではない。ミーティングでは世の中の出来事を勉強して教訓としたり、野球が出来る喜びを強調したりしている。「勝負は大事ですが、それだけではない。正義感を持った人間でいてほしいし、相手チームに対するリスペクトも大事です」。決勝でも選手はひたむきに、粘り強く戦う姿を見せた。
上尾OBには高野監督のほか、山崎裕之(元西武)、仁村徹(元中日)、福田治男(桐生第一監督)、森士(浦和学院監督)ら、プロやアマチュア球界で活躍する人材が多い。決勝のあった県営大宮球場は多くのファンがスタンドを埋めた。
試合後、高野監督は「本当の実力を身につけなければ運だけでは勝てない。でも、コールド負けから始まった、本当に弱かったチームがよく頑張った。明日からまた挑戦します」と笑顔を浮かべて言った。(坂名信行)