米トランプ政権は7日、知的財産権侵害を理由とした中国への制裁関税の第2弾を23日に発動すると発表した。電子部品や化学素材など計160億ドル(約1・8兆円)相当の輸入品に、25%の追加関税を課す。中国は同規模の報復に出る構えで、米中の貿易摩擦は収まる気配がない。
中国から米国への輸入は2017年で計5千億ドル(約56兆円)規模。米政権は「通商法301条」に基づき、500億ドル分に高関税を課す方針を6月に発表し、第1弾となる818品目、計340億ドル分への追加関税(25%)を7月6日に発動していた。
米通商代表部(USTR)の7日の発表によると、第2弾は279品目が対象。中国が産業政策のうえで特に重視する集積回路などの電子部品や、プラスチックなどの化学素材が多く含まれる。関係者から意見を聴く手続きで反対が噴出したが、当初案から5品目分を減らしただけで、全体の制裁規模は維持した。
米政権はこれとは別に、中国による報復措置への対抗策として第3弾も検討中だ。9月以降、食品や衣類など消費者に身近な品目を含む輸入品計2千億ドル分への高関税を発動させる構え。税率も当初案の10%から25%に引き上げる方針だと1日に発表した。
第3弾が発動されれば、米国が中国から輸入する年額のほぼ半分に対して、25%の高関税が上乗せされることになる。トランプ氏はこれにとどまらず、中国からの全輸入品に制裁関税を課すこともほのめかしている。極端な強硬姿勢を示すことで中国に譲歩を迫る戦略とみられるが、中国はむしろ反発を強めており、決着への道筋は見えない。(セントルイス=江渕崇)