風疹の患者が関東を中心に増えている。国立感染症研究所は21日、注意を呼びかける緊急情報を出した。今年に入ってからの患者数は12日現在で139人で、昨年の年間患者数93人を大幅に上回る。風疹は妊娠初期の女性が感染すると、赤ちゃんに障害がでる恐れがある。感染研は妊婦の家族や予防接種率の低い30~50歳代男性などに任意の予防接種を呼びかけている。
感染研によると、7月下旬から患者が急増し、特に千葉、東京などで増えている。過去のワクチン接種方法の変更の影響で接種率が低い30~50歳代の男性が特に多い。
風疹はウイルス性の感染症。主にくしゃみやせきなどのしぶきによって感染する。14~21日間の潜伏期間を経て、発熱や発疹、リンパ節の腫れが出る。人への感染は、発疹が出る1週間前から起こる。
妊娠20週ごろまでの妊婦が感染すると、赤ちゃんが心臓病や難聴になるおそれがある。妊婦はワクチンを受けられないので、家族や周囲の人の注意が欠かせない。大流行した2012~13年は2年間で1万6千人超の患者が出て、45人の赤ちゃんに障害が出た。自治体によっては、風疹の抗体検査や予防接種の費用を助成しているところもある。
感染研感染症疫学センターの多屋馨子(けいこ)室長は「風疹は流行すると2~3年続くことが多い。患者が増えている地域に住む人や勤める人で、罹患(りかん)歴や予防接種歴がないか不明の場合、ワクチンを検討して欲しい。女性は妊娠前に2回受けた方がいい」と話す。(水戸部六美)