アジア大会が開催されているジャカルタは22日、イスラム教の祝日「犠牲祭」を迎えた。世界最大のイスラム人口を抱えるインドネシアでは、ヤギや牛を路上の家畜商から買い、モスクなどでさばいて家族や地域の人々に配るのが習わしだ。大会への悪影響を心配した地元自治体が路上販売を禁止したが、これに従う家畜商は少ないようだ。
ジャカルタ中心部では、多くのヤギや牛、羊が、所狭しと歩道付近で売られていた。30人ほどの家畜商が先週末から1週間、臨時で店を設けた。ヤギ1頭は、200万ルピア(約1万5千円)からと地元の人々にとっては高額だが、品定めに来る客足が絶えない。
地元の自治体は、アジア大会で大勢の人が外国から訪れるため、こうした販売を今年はやめるよう通知。馬術会場の1キロ圏内で家畜をさばくのも禁じた。「56年前のジャカルタ大会でも同じ措置をとった」と州知事は家畜商に理解を求めている。これに対して、計49頭のヤギを販売用に路上に並べたクシン・ヤンシンさん(47)は「先祖の時代から、ここでずっと商売をしている」と反発する。
一方で近くの主婦(47)は「臭いがひどいし、イスラム教になじみの薄い日本や中国、韓国の訪問者らに迷惑をかける」と路上販売の禁止を支持している。(ジャカルタ=野上英文)