18歳でバイク事故を起こして危険運転致死罪に問われた元少年(21)について「警察や検察の怠慢で捜査が遅れ、未成年として裁判を受けられない不利益を被った」という判決が確定する。最高裁第二小法廷(鬼丸かおる裁判長)が8月31日付の決定で元少年側の上告を棄却し、捜査当局の職務怠慢を認定した二審・東京高裁判決を支持した。
二審判決によると、元少年は18歳だった2015年1月、埼玉県川口市でバイクを無免許で2人乗り運転。赤信号で交差点に侵入してトラックに衝突し、同乗者を死亡させた。県警の書類送検までに約10カ月、検察の起訴までにさらに約10カ月かかり、起訴された時には20歳を超えていた。
元少年側は「捜査の遅れによって、少年として裁判を受ける利益が失われ、起訴は違法だ」と主張したが、一審・さいたま地裁は「捜査が特に遅らされたということはない」と判断し、検察側の求刑通りに懲役5年を言い渡した。一方、高裁は今年5月の判決で事故や元少年の供述の状況を踏まえて「捜査は必要以上に時間をかけすぎた」と指摘。「警察と検察に職務怠慢があった」と判断して一審判決を破棄し、懲役2年6カ月を言い渡した。検察側は上告していなかった。(岡本玄)