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長期療養の中1、慶大野球部で汗 「遠くまで飛ばせた」

病気で長期療養を必要とする少年が8月1日付で慶大野球部の一員となり、25日に初めて練習に参加した。横浜市の中学1年生、岩田遼さん(12)。9月8日開幕の東京六大学秋季リーグ戦で3季連続優勝に挑む選手たちのサポートや、「一番楽しみだった」という打撃練習に汗を流した。


慢性疾患のある子どもや家族をスポーツを通じて支援するNPO法人「Being ALIVE Japan」が取り組む、スポーツチームとのマッチング事業の一環として、加入が実現した。大学の体育会が事業に賛同し、長期療養児を受け入れるのは初めてだ。


岩田さんは成長軟骨に異常がある小児特定慢性疾患で、半年間の入院を経て現在も治療を続けている。入院生活が始まった小学5年の夏、プロ野球中継をみて「野球が大好き」に。だが学校の野球部に入って毎日活動するのは難しく、家で素振りなどを重ねてきたという。


初練習は、慶大の部員6人を中心に立ち上げた「プロジェクトメンバー」の指導のもと、ドリンクを作り、炎天下で練習を続ける選手たちに手渡すサポート活動からスタート。その後は自らも投打の練習をした。


軟らかいボールを使っての打撃練習ではいい当たりを連発し、「遠くまで飛ばせてうれしかった」と声を弾ませた。投球練習では、握り方を教わりながらツーシームやカーブなどの変化球にも挑戦。1時間半ほどを部員たちと過ごした岩田さんは「みんな優しくて楽しかった。暑かったけど、楽しさで忘れた」と笑顔だった。


指導にあたった4年生の三戸宏介さん(22)は「遼君はめちゃくちゃセンスがあって上達も早い。僕も小さい時はこんな感覚で野球をやっていたんだなとか、こちらも初心に帰れました」と感想を話した。


岩田さんは年末まで月に1~2回のペースで練習に参加する予定。慶大野球部の大久保秀昭監督(49)は「遼君という新しい家族を迎え、互いの融合で、野球部がまたどれだけ成長できるか期待したい」と語る。


母親の京子さんは「野球を通じてチームワークの大切さ、しんどくても頑張りぬく姿勢などを学んでほしい。同じように病気と闘っている子たちの励みになれば」と話している。(杉山圭子)


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