「柔道 For All」を合言葉に、全日本柔道連盟が17日、東京都八王子市の日本文化大で第1回の全日本ID(知的障がい者)選手権を開く。知的障害のある人の柔道は国内に全国的な団体がなく、全柔連が音頭を取る形で初開催にこぎ着けた。
障害のある人の柔道は全柔連の加盟団体である日本視覚障害者連盟があり、パラリンピックにも毎回、代表を送っている。一方、知的障害は国際的にはスペシャルオリンピックスなどでも競技が実施されている。しかし、国内は指導者不足などから普及が遅れ、昨年3県が参加した競技会があった程度だった。
全柔連が高体連専門部、中体連専門部、全国少年協議会を通じて調べたところ、全国で55所属、112人の知的障害のある人が競技に接していた。このため、全柔連では「障害のある人らが、もっと柔道を楽しめるように」と、今年1月に組織内に知的障がい者振興部会を設置。ID選手権の開催を決定した。
大会は来年にオランダで開催される世界選手権の代表選考会を兼ねるため、16歳以上を条件に出場者を募った。神奈川の11人を最高に北は宮城、南は広島まで12府県から最高齢49歳を含む男女35人が参加。「健常者と試合が出来る」「健常者と同等に乱取りが出来る」「かなり制約はあるが健常者と乱取りが出来る」の3クラスに分かれて実施される。
当日は五輪金メダリストの山下泰裕会長からのビデオメッセージも披露される予定だ。神奈川県大磯町で指導し、全柔連の振興部会長に就任した浜名智男さんは、「日本の知的障害の柔道はこれから。今度の大会で共通のルールや指導者への情報を共有して、障害のある人たちが柔道に親しむ機会、環境を増やしたい」と意気込んでいる。(竹園隆浩)